今年の振り返りと3軸オムニロボ噺

この記事は慶應ロ技研 Advent Calender 1日目になります。

1日目:ここ|2日目:かわロボの電装、特にPN混合型モータドライバについて→

Advent Calendar企画の初日を書かせていただくことになりました、三鍵といいます。11月から弊サークル代表になりました。このブログで何かを書くのは初めてですね。よろしくお願いします。

昨今ほっとんど更新されてこなかった慶應義塾大学ロボット義塾研究会のHPですが、いきなりAdvent Calendar企画を行うことになった始まりは後輩からの提案でした。HPが動いていないことへの危惧は多くの部員が持っていましたが、今回のような具体的で指針のしっかりした企画を実行に移してくれた後輩の行動力に感謝です。

さて、初回として、また代表として、何を書けば良いかかなり悩んだのですが、まずは今年の振り返り、反省を簡単に書きます。

今年のロ技研は新入生の数を増やそうと新歓に力を入れたり、勉強会が開いてみたり、googleのideathonはじめ外部のイベントに参加してみたりとサークルの幅を広げようとしてきました。今年は春学期からマニュファクチュアリングセンターが使えたおかげで製作可能なものも増えたと思います。結果的に、現在の1年生も去年度の3倍ほど残ってくれていて嬉しく思っています。

しかしそれでもロ技研全体での人数は全体で30人程度と、大学の規模の割には比較的小規模なサークルとなっています。小規模であることで、柔軟な運営がしやすかったりと利点も沢山ありますが、苦労する点もやはり存在します。そのひとつとして挙げられるのが、何かサークル内で大きな事を行おうとした際に、各個人への負担が大きくなってしまうことです。今回のAdvent企画もすでにかつかつです笑。金銭的にも今年は大きな負担をさせてしまうこととなりました。

このようなことが問題になる背景には、他のサークルにはあまりないロ技研の特徴があると思います。というのも、ロ技研には各部員共通の目的がありません。精々1年の時のF^3RCという大会があるくらいで、その後の活動内容は完全に自由です。のんびりやりたい人もいればロボコンなどの大会に参加したい人もいます。興味のある分野も皆それぞれ違います。他のサークルであれば共通の目的のために全体への多少の負担等は許されることも、ロ技研内ではなかなかそうはいきません。その上で、さらに人数が少ないために、のんびりやりたい人にも負担がかかってしまっている現状です。これは反省点であり、とても解決するのが難しい問題だと思っています。もちろんサークルに所属している以上、ある程度の義務は発生しますし、かと言ってその義務をどこまでも拡大していくと、ロ技研のせっかくの多様性が失われることにつながります。代表としてこれから一年、試行錯誤しながら妥協点を探していくしかないと考えています。

もうひとつ個人的な反省点ですが、副代表として1年過ごしてきて自身の優柔不断さをつくづく感じました。前述の内容で最終的に明確な結論を出せていないことがそのことを物語っている気もしますが笑。意見を取り入れることは忘れてはいけませんが決断力も養っていきたいものです。

と、ここまで反省ばかりが長くなってしまいましたが、今年のF^3RCでは去年の3倍の勝利数、部員数も3倍、かわろぼでは初出場初勝利など、全体として活動が活発になってきています。この流れが途絶えることなく、今後も活動が充実したサークルであってほしいと思っていますし、そのためにできることをこれからもやっていくつもりです。

 

さて、振り返りだけで終わっては申し訳ないので今製作中の機体に関して以下少し書こうと思います。

%e6%a9%9f%e4%bd%93%e6%9c%ac%e4%bd%93三軸オムニロボのとてつもなくざっくりした全体図

現在もう一人の部員と製作中のロボットは、スマホ上でロボットの動きを簡単にプログラミングしてそのスマホをロボット本体に接続すると、その通り動いてくれるようなロボットです。誰でも持っているスマホを用いて、誰でも簡単に使えるプログラミングアプリを用意してあげれば、誰でもプログラムして動かせるロボットが作れるのではないか、というのがコンセプトです。スマホを用いるもうひとつの利点は、様々なセンサーとしてスマホを利用することができることです。GPSセンサー、ジャイロセンサー、加速度センサー、照度センサー、近接センサーといった多くのセンサーがスマホには搭載されています。これらのセンサーを利用することを考えています。

また、アクチュエータはステッピングモータ3つで、オムニホイールを動かします。“誰でも”を求めたとき、ユーザーの直感的な動きの指示に、より柔軟に対応できるということでオムニホイールを採用しています。

ステッピングモータについて、私自身触るのが初めてだったので、この機会にわかる範囲で少しまとめてみようと思います。 間違いなどあったら教えていただけると助かります。

 

ステッピングモータとは

suteppinngumo-taユニポーラ ステッピングモーターST-42BYG0506H

もともと魚雷の発射方向制御のために開発されたステッピングモータは、ロータ(回転子)の位置決めを簡単に行うことができるモータです。英語だと主にstepper motorと呼ばれるようです。上の画像のステッピングモータは秋月電子で1400円ほどで売っていて、割と簡単に入手することができます。

ステッピングモータはロータの構造で分類されますが、一般的なのは複合形(HB型)のステッピングモータです。

ステッピングモータロータ.jpgHB型ロータの構造

複合形では上のようなロータが使われています。2枚の歯車状の鉄心が永久磁石を挟んでおり、その歯がそれぞれN,S極交互に磁化しています。このロータのまわりにコイルが多数配置されていて、順番にそのコイルに電流を流すことでロータが回転していきます。(ちなみに永久磁石形と呼ばれるものでは、単にN,S極が交互に横に並んでいる円盤がロータとなっています。また歯車状鉄心形はその名の通り、ただの歯車型の鉄心がロータです。)

コイルに順に電流を流しさえすれば、その切り替えの周期にしたがってロータが動くので、速度制御が非常に簡単になります。また、一つのコイルに電流を流し続ければロータをある角度で固定することもできます。しかし、一定以上の速さでコイルを切り替えたり、負荷がかかったりするとロータが同期しなくなる“脱調”と呼ばれる現象が起きます。

ステッピングモータの分類としてはロータに拠るものの他に、バイポーラかユニポーラかというのがあります。これは内部の構造に起因します。

untitled2←ユニファイラ巻きコイル%e3%83%a6%e3%83%8b%e3%83%9d%e3%83%bc%e3%83%a92←バイファイラ巻きコイル

左図のようにコイルが一つの極に一つのみあるものをユニファイラ(uni-filar)巻きコイルといいます。一方右図のように一つの極に2つのコイルが重ねて巻いてあるコイルをバイファイラ(bi-filar)巻きコイルといいます。(右図上は2つのコイルが横に並んでいますが、実際は重ねて巻いてあります。その際、当然お互い逆巻きになっています。)filarとは”糸状の”という意味の単語なのでイメージしやすいと思います。ユニファイラでもバイファイラでも、2相モータの場合には、ロータの周りには図のような2種類(A,B)のコイルがステータという部品を介して、交互に360度ぐるっと並んでいます。

さて、左図のユニファイラ構造の場合、A,Bのコイルに同じ方向の電流のみを流していてもロータは回転しません。回転させるには逆方向にも電流を流す必要があります。そこで以下のような回路が必要となってきます。

untitledバイポーラ駆動

コイルに両方向の電流を流すための回路です。これはよく見るまでも無くHブリッジ回路です。このようにコイルの励磁方向を切り替えるために電流の向きを切り替える駆動の仕方を、“双極性”を意味する、バイポーラ駆動といいます。

一方右図のようなバイファイラ巻きコイルが内部にあるステッピングモータでは、各コイルに流す電流の方向が一方向でも、流すコイルを切り替えることでロータをまわすことができます。こちらを駆動させるための回路が以下になります。

ユニポーラ.PNGユニポーラ駆動

このときの駆動方法を“単極性”を意味するユニポーラ駆動といいます。

バイポーラ駆動とユニポーラ駆動を比較したとき、ユニポーラのほうが回路は簡単になります。また、ステッピングモータにつながる線はバイポーラが4本に対し、ユニポーラは6本になります。そして、バイポーラ駆動、すなわち内部がユニファイラ巻きコイルの場合は、バイファイラの2倍分、一つのコイルに対して巻けるので、ロータへの引力、斥力が強くなります。これは低速時のトルクが強いことを意味します。しかしインダクタンスも大きくなるので周波数が上がると、ユニポーラ駆動より大きくトルクが落ちます。

次にステッピングモータに与えるパルスによる分類をまとめます。

1相励磁
P1 P2 P3 P4
1 0 0 0
0 1 0 0
0 0 1 0
0 0 0 1
2相励磁
P1 P2 P3 P4
1 1 0 0
0 1 1 0
0 0 1 1
1 0 0 1
1-2相励磁
P1 P2 P3 P4
1 0 0 0
1 1 0 0
0 1 0 0
0 1 1 0
0 0 1 0
0 0 1 1
0 0 0 1
1 0 0 1

上の表は、コイルを1つずつ切り替えていくか、2つずつ切り替えていくか、1個→2個→1個と切り替えていくかの違いです。2相励磁は1相励磁の2倍トルクが得られますが精度が悪くなります。1-2相励磁の場合回転時の最小角度が小さくなり、回転がスムーズになります。

また、ステッピングモータをまわす方法としては、定電圧駆動と定電流駆動があります。定電圧駆動は一定の電圧をコイルにかける方法です。この場合回路は簡単ですが、電圧の立ち上がり時は逆起電力の影響で電流が流れにくく、高周波パルスを与えたときにトルクが低下します。またロータ固定時は、無負荷状態でもDCモータとは違い、逆起電力が生じないため、電流が多く流れてエネルギーロスとなります。これらを回避する駆動方法が定電流駆動です。定電流駆動は、高電圧をPWM制御することで電流を一定に保ちます。

ここまでがステッピングモータのざっくりとしたまとめです。今後追記するかもしれません。

現状の開発状況に話を戻しますと、今回私たちは2相励磁を採用しました。理由としてはトルクが大きいことと、2ピンへの圧縮がnot回路2つで済むため簡単だったことです。現在は圧縮回路をそのままドライバ回路に併用してしまおうという大胆な回路になっていますが、改良が入る予定です。 現在の回路が以下になります。初めての回路設計で色々不安しかないので指摘などいただけると大変助かります。左が入力ピンです。コイルでモータを代替しています。本来はこれがもう一つあり、4分の1相ずらして2ピンに入力を与えます。%e5%9b%9e%e8%b7%af%e5%9b%b3

このあと3軸オムニにおける各モータの速度の算出に関して書こうと思っていたのですが、思った以上に長くなってしまったので次の機会にしようと思います。

ということで今回は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。明日以降も毎日各メンバーの記事があがると思うのでよろしければまたお付き合いいただけると幸いです。

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今年の振り返りと3軸オムニロボ噺」への3件のフィードバック

  1. ピンバック: かわロボの電装、特にPN混合型モータドライバについて | 慶應義塾大学ロボット技術研究会

  2. ピンバック: かわロボの電装、特にPN混合型モータドライバについて | 慶應義塾大学ロボット技術研究会

  3. ピンバック: タイマーを用いたステッピングモーター制御(倒立振子その2) | 慶應義塾大学ロボット技術研究会

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