かわロボの電装、特にPN混合型モータドライバについて

この記事は慶應ロ技研 Advent Calender 2日目になります
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あと10日で酒が飲めますishtarmk2です。酔ったときに脳内を蠢く下ネタの群れが声帯から流出しないか不安です。さてついにAdvent Calenderが始まりました。1日目の記事は読んでいただけたでしょうか。今年のF^3RCでもステッピングモータを積んだ機体が猛威を奮っていたのでぜひ読んでみて下さい。というわけで今日はステッピングモータに続き思い通りにDCモータを回すためのお話です。
ロ技研とは関係ありませんが本題に入る前にお話しておきたいのが12月24日即ちクリスマス・イブはアニメ「魔法少女リリカルなのはA’s」(魔法少女リリカルなのはシリーズの2期にあたります)を見る日です(TV版でも劇場版でも可)。これは本作の最終決戦の日付がクリスマス・イブであることに由来します。来るべき24日に備えてまだ1期を見ていない人は視聴しておきましょう。
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さて寄り道はこれくらいにして本題に入ります。

かわロボ2017

以前も書いたとおり今年度に引き続き我々ロ技研は2017年のかわさきロボット競技大会(通称かわロボ)に出場します。現在先輩の助力を得つつB1の3人で新機体の設計を行っており、回路及び制御を私が担当することになりました。かわロボのルールは脚と攻撃用のアームがついた機体でリングから押し出したりひっくり返して行動不能に追い込んだりする格闘技のようなものです。つまるところ制御対象は左右の脚それぞれのDCモータ、アーム用のDCモータの計3つになります。かわロボだとDCモータの制御にはラジコン用のアンプ(=モータドライバ)と大会指定のプロポに対応した受信機のセットを用いるのが一般的らしいです。が受信機はともかくこのアンプが結構高い。例えば今年度出場機体の1つYGMN(B3主体のチームによるものです)に使用されたアンプMC402CRは秋葉原にあるTsukumoロボット王国で1つ12800円。Amplifyしているのは電流なのか価格なのか(その分小型だったりするのですが)。
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↑YGMN
我々ロ技研は今年度もかわロボに出場しているのでアンプなどの蓄えはあるのですがNHKロボコンなどの大型のロボットの制御には自作のモータドライバを使用するのが一般的です。部内にモータドライバに関する技術の蓄えを作るいい機会でもあり、何より既製品を繋ぎ合わせるだけでは電装担当としてはあまり面白くないので、この機会にモータドライバを作ってみることにしました。最悪失敗しても昨年のアンプで動かせますし。

DCモータとは

小学校の理科の実験などで見るような直流電圧をかけると回転するモータをDCモータといいます。回転だけでなく重心を回転軸からズラしたおもりを軸に付け、何かに固定することで振動を得ることもできるので某楕円形のピンク色のマッサージ機などにも使われていたりします。
DCモータに電圧をかけると、電流が流れ、更にモータ内には磁石が入っており磁界が発生しているのでコイルにローレンツ力がかかり回転を始めます。回転することによりコイルを通る磁束が周期的に変化するのでモータに逆起電力が生じます。回転が加速するごとに逆起電力が上がっていき、モータに何の負荷もかかっていない状態では最終的に逆起電力とかかっている電圧が等しくなり等速で回転、電流は全く流れなくなります。電流はモータの軸に掛かる負荷、すなわちトルクに比例します。しかし実際は回転軸の質量や摩擦などによりモータに電圧をかける以外の干渉をしなくても僅かに負荷がかかっています。この負荷により流れる電流を無負荷電流といいます。
さて、後に詳しく説明しますがつまるところモータドライバのスイッチングにより逆電圧とバッテリの電圧が同時に一つの素子にかかった場合最悪でもその電圧はバッテリの電圧の2倍なわけです。つまり使用するバッテリの2倍の電圧に各素子が耐えられれば過電圧によりドライバが破損する確率はぐっと減ると言えるでしょう。

モータドライバとは

DCモータをスイッチなどに手を触れずに両方向に回転させたい場合どうすればいいでしょう?手で操作する場合はスイッチに力を入れることで入出力の制御をするでしょう。この手の役割をマイコンと電子に任せることの出来る素子であるところのリレーやトランジスタを利用しモータのON/OFF、正転/逆転、ブレーキ等の動作を行わせるのがモータドライバの役割です。また、PWMという制御手法を用いて回転速度の調整も可能です。
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上図のように電源のON/OFFを高速で切り替えることで、見かけ上低い電圧(破線に該当)を出力し、モータを低速で駆動することが可能です。この切り換えの周波数の最大値は各素子の応答速度に依存します。
扱う電流電圧が小さい場合はこの回路が入ったICを安く買えるのですが(東芝のTA7291Pなどが有名です)、これらの値が大きくなるにつれて高級化してきます。ON/OFFの切り替えの応答速度や電流電圧に対する耐久性などの観点から、現在自作品ににおいてはトランジスタの一種であるMOSFET(このFETが燃えやすい、人のFETで焼肉が焼きたい)を用いたものが主流となっています。今回もMOSFETを用いて設計します。中でも回路をシンプルに組めるPN混合型を採択しました。(扱う電流電圧が更に大きくなってくるとフルNch型というタイプの方が向いています)その他の種類のモータドライバについては下記のサイトを参考にすると良いでしょう。
関東応援団@ロボコンwiki – 回路系技術資料/モータドライバ

かわロボにおけるモータの規定

かわロボにおいては使用するモータに制限がありRS380-PH(通称380モータ)、或いはそれにギヤを噛ませたギヤードモータを使うことになります。さてここからモータの特性を考えモータドライバのスペックを決めていくわけですがここで設計する上で参考にしたサイトを紹介しようと思います。
アツい回路 : 東京工業大学 ロボット技術研究会
【復刻】ロボコン向けモータドライバの作り方 Vol.1 – yuqlidの日記(vol.4まであります)
 いずれも同一の筆者(東工大でNHKロボコン用のモータドライバを設計されていた方だそうです)によるもので、書籍にもネットにもモータドライバの設計に関する情報はそう多くない(書籍に至っては自分には見つけられなかった、作品例自体はネットにはいくつかある)中、体系的にまとまっていて非常に参考になります。モータドライバを作ってみたいという方はまずこちらの記事を読んでみると良いと思います。下手を打つとこの記事はただの2番煎じになりかねないので更に基礎の基礎から書いていこうと思います。かくいう私もモータドライバを作るのは初めてな上ロボコン自体1回しか出たことがないので色々用語がわからず苦労しました。
さて、前者の記事によると380モータの停動電流(モータに流れる電流はモータにかかるトルクに比例します。モータに回転が止まるレベルまで負荷をかけたときモータに流れる電流のことを停動電流とかストール電流とか言います)は約24A、Amazonに書いてあるスペックを見ると限界電圧は12Vのようです(バッテリはLi-Feの4セルあたりが良いでしょうか)。つまり今回はおよそ24A(けっこうな大電流なので電線も太いものが必要になりますF.C.O.H)、24(=12*2)Vまでの電流、電圧に耐えられる素子を用いて設計すれば良いことになります。そんなわけで今回FETはPchに2SJ334、Nchに2SK2232(いずれも東芝製)を選定しました。国内メーカーだとデータシートが日本語で読めるのも良いですね。

PN混合型モータドライバの構造

さて、前述の通り回路のON/OFFの切り替えをMOSFETを用いて行うわけですのでMOSFETの挙動について大雑把に解説します(詳しくは前項で紹介したのサイトの後者を見ることをおすすめします)。所謂ノーマルなトランジスタは電流を流すことで制御するのですが、FETは電圧をかけることで制御します。
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MOSFETにはNch、Pchの2種類が存在し、Nchはゲート(G)にソース(S)より高い電圧をかけることでドレイン(D)からソースに電流が流れます。Pchの場合は、ゲートにソースより低い電圧をかけることでソースからドレインに電流が流れます。今回はPN混合型ということでこれらを2つずつ使用して下記のように回路を組みます。※ネットを探せば似たようなの出てきますが決してパクリではありません
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FETは上の2つがPch(電源側がソース)、下の2つがNch(GND側がソース)です。左右の白い杭みたいなのは後述するフォトカプラを介してマイコンのピンに接続します。Mがモータです。このように接続することで、マイコンからFETに信号を出力すれば最寄りの抵抗の両端に電位差が生まれ、ドレイン-ソース間が導通します。例えば右上と左下、左上と右下のFETを導通させることでモータの正転/逆転が可能です。また、導通した各FETのドレイン-ソース間において電圧降下(ドレイン-ソース間電圧と呼びます。FETのデータシートにゲート-ソース間の電圧等との相関図が載っています)が発生するため、実際モータにかけられる電圧はバッテリの電圧からこれらの降下電圧を引いたものになります。また、FETが逆電流で破損することを防ぐため、逆電流が流れるようダイオードを挟んであります。
だいたいのマイコンはピンから5V或いは3.3Vの電圧を出力できるので、直接ゲートに信号を送って良いように見えますが(FETのデータシートにあるしきい値電圧を超えるとFETが駆動します)、モータというのはノイズを発生しやすい素子で、そのノイズがマイコンにのると最悪マイコンが破損します。そこで、マイコンとモータドライバは電気的に絶縁する必要が出てきます。このようなときに役立つのがフォトカプラです。フォトカプラの中には赤外線LEDとフォトトランジスタ(赤外線を当てると導通する)が入っており、マイコンをLED側に、バッテリとFETをフォトトランジスタ側に繋ぐことにより、電気的に絶縁しながらも信号を送ることが可能になります。
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ただしこのフォトカプラ、応答速度があまり早くない物も多く、高速でPWM制御を行う場合、ゲートドライブ用などとデータシートに書かれたスイッチング特性(これもデータシートに書いてあります)の優秀なものを選ぶといいでしょう。東芝のTLP250Hなどが良いらしいですが、恥ずかしながらただのフォトカプラではなく中にプッシュプル回路とと呼ばれる回路が入っていたりしてデータシートの読み方がよくわかりません。わかったらいずれ記事にしたいと思います。モータドライバについてはこんなところでしょうか。

マイコンについて

制御用のマイコンですが、モータドライバ自体が結構面積を食いそうなので小さくするべくNucleo等のボードではなくチップ型のマイコンを使おうと思っています。ライタが安い、C言語開発環境の完全版がタダ、作業が間に合わない場合arduinoのブートローダを焼けば楽できるなどの理由でAVRを考えています。匹敵する長所があればPICでも良いかなとは思うのですが実際どちらのほうが良いのやら。

あとがき

これ書いてる時点で朝の6時です(モンスターエナジーとカフェイン錠によって意識が繋ぎ止められています)。ねむい、ねむすぎて根室市になったwが現実は厳しく2限から授業がある上に放課後は別のサークルの役員決め、そして明日ロ技研の方で進捗報告会というのがあるのですがそのためのスライド制作。あかん死ぬゥ
ここ1ヶ月弱で自分が勉強したことを細かい部分削ってまとめたつもりですがありきたりなようなそうでないような・・・まあ読んでくれた方のお役に立てれば幸いです。あと間違ってるところがあったらコメントで遠慮なく突っ込んで下さい。単なる進捗報告と言えなくもないので来年もAdvent Calenderをやるなら年末らしい記事を考えておきたいところです。ロ技研だしロボットアニメの話とか(書くとしたらたぶんガサラキについて。PNはこの作品からとりました)書くのもいいかなと思い立ったもののまだカレンダーも始まったばかりなので手堅く技術系の記事で攻めることにしました。そういう話もいずれ機会があったら書こうと思います。年が明けるまでにもう1記事くらいは書きたいところです。
こんなクッソ長い記事最後まで読んでいただきありがとうございます。引き続き明日以降のAdvent Calenderにもご期待下さい。

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かわロボの電装、特にPN混合型モータドライバについて」への3件のフィードバック

  1. ピンバック: 慶應義塾大学ロボット技術研究会

  2. ピンバック: かわロボ 進捗状況 | 慶應義塾大学ロボット技術研究会

  3. ピンバック: 今年の振り返りと3軸オムニロボ噺 | 慶應義塾大学ロボット技術研究会

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