この記事は慶應ロ技研 Advent Calender 14日目になります。

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初めまして。わたくし、今日も一日仏像ざんまい、快慶と申します。この記事では、「自分の作りたいロボット」について書いていきます。因みにこのテーマは、自分の記事に書けるような持ちネタを持っていない駄目部員の為に5日目12日目を執筆された先輩が提示して下さった、所謂指定課題のような物です。それでは宜しくお願いします。

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◆はじめに

この記事は、アドヴェントカレンダーの14日目の記事である。アドヴェントカレンダーとは、クリスマス迄の日数をカウントダウンするカレンダーのことだ。では、今日は何日前か。はい、今日はクリスマスまであと11日、なんとイヴまであと10日!!皆さん、当日のデートプランは完璧ですか?レストランの予約忘れてませんかぁ~?…えっっ、ホテルもとったんですか!? …あぁ~、聖なる夜が待ち遠しいですねぇ~☆☆  ……気が済んだらとっとと帰ってくれリア獣ども、この記事に貴様らの居場所は無いのだ。魂まで充実しきってしまって理解できないようだが、私は今、貴様らの言語で言うところの「激おこぷんぷん丸」の状態にあるんだぞ。おこぷんぷんだぞ(怒)

さて、邪魔者にご退場頂いたところで、本題に入ろうか、同志たちよ。自分の作りたいロボットについて語るための話の流れ上、まずは私の大好きな映画『風立ちぬ』を紹介させて頂きたい。簡単にあらすじを述べると、『風立ちぬ』は「裕福な家庭に生まれつつ『美しい飛行機を作りたい』という筋の通った夢を持つ主人公・堀越二郎が、東大を出て三菱に就職して夢だった飛行機設計をしつつ、可愛いけれど結核持ちの菜穂子と恋に落ち結婚し文学的に美しい刹那主義的恋愛をする、大正から昭和にかけてのお話」である。まるで先程ご退場願った方々の究極形のような人生だが、『風立ちぬ』はそんな安っぽい映画ではない。この映画はとても美しい。

◆映画『風立ちぬ』の魅力

では、『風立ちぬ』の美しさの本質は何だろうか。その答えは人それぞれ異なるだろうが、私が思う本質は「避けられない運命への精一杯の抵抗」だ。主人公・二郎にとっての「運命」とは、戦争と結核である。彼は美しい飛行機を作りたいという夢を叶えようとしたが、その行為は即ち戦争へと進む歯車を直接的に回す行為に他ならない。また、彼は重度の結核を患う婚約者・菜穂子が療養所を脱走して逢いに来た際、彼女を療養所に送り返さず共に生活することを決めたが、言うまでもなくこれは菜穂子の寿命を大幅に削る行為である。そう、二郎は、例え将来大きな代償を払うことになるのだとしても、運命に押しつぶされて死んだように生を貪る道ではなく、夢を追い求め本当の意味で生きていこうとする道を選んだのだ。この映画は、そんな二郎の姿を静かに、それでいて濃密に描ききっている。

◆「刹那主義恋愛」という文学的芸術

今回の記事では、前段落の後者の運命、つまり菜穂子との悲恋の話題に絞って話を進める。『風立ちぬ』での二郎と菜穂子の恋愛を、「刹那主義恋愛」と定義付ける。つまり「刹那主義恋愛」とは、いずれ訪れる今生の別れの瞬間を強烈に意識した結果として、共に生活できる一瞬一瞬を最大限大切に過ごすようにすることで、二人の有限な時間の中に最大密度の愛をこれでもかと詰め込む、そんな恋愛のことである。『風立ちぬ』では、上司や妹に二人の恋愛を批判された際の二郎の台詞が、その定義を端的に表していて、かつその美しさを完璧に凝縮している。

「君のは愛情ではなく、エゴイズムではないのか?」

「私たちには時間がありません。覚悟しています。」

「このままじゃかわいそう… 山の病院へ戻るのは無理なの?」

「うん。僕らは今一日一日をとても大切に生きているんだよ。」

この美しさは、実際映画『風立ちぬ』を観て頂ければきっと理解できると思う。さあ、インターネットなんか閉じて、TSUTAYAかGEOに行って『風立ちぬ』を借りて早速観よう。

◆「病弱人ナヲコちゃん」の必要性

さて、観たか、『風立ちぬ』?そうか観たか。だったら、「刹那主義恋愛」を自分でも体験してみたいと感じるだろう、同志たちよ!私もそう思う。だがしかし、諸君らも知っての通り、現実は厳しいものだ。現実世界で「病気に苦しむ美少女」と都合良く知り合う可能性なんてほぼ皆無。美少女ですら稀少だ。いや、我々は気づいた、「病気」も「美少女性」も、「刹那主義恋愛」の本質ではない、と。残ったのは「女」だ。ならば是非とも「女」を得たい。しかし、同志たちよ、解っているだろう、我々にはそれさえも不可能である、と。現に諸君はさっきご退場しなかったんだから。現状の我々には、もはや金を積んでお見合いパーティーに出場するか、我々と同じく妥協した「女」を終身雇用するか、若しくはひたすら空から美少女が降ってくる運命の日を待つかしか道は無いのだ。gp01a201310261400

しかし、諸君、我々はここで諦めてもよいのか?「女」、即ちパートナーとしての生命が存在していなくとも、「刹那主義恋愛」は実現可能ではないのか?そうだ、我々にはロボットがあるではないか!文学の誇る非再現性なる障壁を、人間の欲望を実現するための魔術即ち現代科学でぶち破ってやるのだ!これは運命に対する我々なりの抵抗だ!!Wir sind der Jäger!!!

というわけで、恵まれない我々に「刹那主義恋愛」の体験を与えてくれるロボットを考案してみよう。映画『風立ちぬ』に敬意を込めて、ロボットの名前は「病弱人ナヲコちゃん」とする。

◆「病弱人ナヲコちゃん」の仕様

では、「刹那主義恋愛」の実現のために必要だと私が思う、我々のナヲコちゃんが満たすべき条件を列挙してみる。

1.実存在として、触れること、嗅ぐこともできる物であること

つまりは、映像作品や小説、ゲーム等の登場人物としてではなく、形ある存在、即ちロボットや人形としてナヲコちゃんを存在させるべきだ、ということである。これは私が最も重要だと考えている条件だ。我々人間の記憶にその存在を強烈に叩き込み、我々を恋愛という盲目状態に陥らせるために、ナヲコちゃんは視覚と聴覚だけではなく、触覚、嗅覚等のあらゆる人間の感覚に訴えかけるようなものでなければならない。だが、印象に残り、かつ愛着を抱かせるようなものであれば、必ずしも人間そっくりなものである必要はないだろう。

また、後述するように、有限の物であること・壊れる物であることをナヲコちゃんのコンセプトにすれば、「物が壊れにくくするための耐久性」に掛ける比重を少なくでき、ナヲコちゃんのよりリアルな手触りや質感を再現したり、若しくは触れたものに安らぎを与えるような匂い付きの柔らかい布をナヲコちゃんの表面に用いたりできるかもしれない。

2.共に過ごせる時間に制限があること

この要素は、「刹那主義恋愛」の実現を目指すナヲコちゃんには不可欠な機能だ。あたかもその存在が永遠であるかのように錯覚させられてしまい、また我々も無意識のうちにその存在が永遠のものであることを望んでいる、そんなアニメ等のキャラクター群とは一線を画して、ナヲコちゃんにはキャラクターそのものの本質として最初から有限性を打ち据えてしまうのだ。色即是空、空即是色。彼女に他のキャラクターより遥かに強い物質的性質を付与することで、逆説的に、物質の儚さ・空虚さを気づかせてくれる存在にしたい。なお、この要素を満たすために、やはりナヲコちゃんは人形ではなくロボットである必要がある。

具体的には、映画のように、「日が経つごとにどんどん弱ってくるが、それを必死に隠している」という演出を入れたい。また、流石に「ロボットが歩いて病院に帰っていく」とかいうことはできないので(というか実際それやられたら付いてっちゃうぞ私)、「ある日突然動かなくなる」ことにしよう。目安だが、大体3か月ほど経ったら動かなくなり、その個体は修理屋に持っていっても二度と動かすことが出来ない、という感じがいいと思う。

3.言葉をある程度覚えてくれて、かつベッタベタな台詞を吐いてくれること

ロボットである以上、ナヲコちゃんには、我々が発した言葉や起こした行動に反応する機能を付けたい。だが、映画『風立ちぬ』の二郎と菜穂子の会話を見た限りでは、別に本格的な会話が出来なくても大丈夫そうである。例えば、こちらの発した単語を覚えてその単語から連想した事柄をつぶやいてくれたり(「サバの骨」のお話等)、たまに「手を繋いで」など甘々な台詞を発してくれてそれに答えてあげれば喜んでくれたり、な程度で宜しい。即ち、現代の技術で出来ている、Microsoft社のりんな嬢くらいのレベルがあれば問題ない。本物の夫婦は心で会話するのだ。それが本当に通じているのか、はたまた各人の妄想なのか、それを問うことは無意味であり、無粋である。要は互いに満足できていればそれでよいのだ。

4.見た目がもの凄くリアル、若しくはもの凄く洗練されたデフォルメ形であること

最後に、ロボットの見た目について。これは超リアル路線も超デフォルメ路線も両方アリだと思う。どちらかであればナヲコちゃんとの恋愛に支障はない。現在既にあるものでは、超リアル路線なら、石黒浩氏マツコロイド漱石アンドロイドなど、超デフォルメ路線なら高橋智隆氏RoBoHoNなどを参考にしたい。これらは私が主にTVで見知ったロボットだが、適切なワードでググれば多分もっと多くの参考例が出てくるだろう。また、むしろぬいぐるみに近づけちゃうのもある種のデフォルメとしていいかもしれない。

 

というわけで、現代の最先端の技術を結集して、それらを上手く統合できれば、「病弱人ナヲコちゃん」の製造は案外可能かもしれない。要は金を積んで制作を依頼すれば何とかなる(かも)。諸君、いや皆様、この中に、大金持ちの方はいらっしゃいますでしょうか??

◆君に、ナヲコちゃんと共に生きてゆく覚悟はあるか?(おまけ、『風立ちぬ』の解釈について)

さて、ここまでの話で、我々が「刹那主義恋愛」を体験するためのロボットは頑張れば用意できることは解った。そうだ、我々には目標が出来た!とにかく金を稼いでナヲコちゃんを産み出すための資金を作るのだ!!さあ諸君、部屋を出て、明日から働きまくってやろうぞ!!!…だが、それが実現するのはきっととても遠い未来だ。明日からの生活の心の糧を得るために、我々の先人たちがどんな素晴らしい「刹那主義恋愛」をしたか、今一度見直してみようではないか。

我らが教祖にして全能の父、映画『風立ちぬ』。ああ、菜穂子さん可愛い。やはり美しい恋愛だなあ。…切ないなあ。ボロボロになった二郎も救われて本当に羨ましい限りです。あああああ、ありがとう、ありがとう!(号泣)

少し幅を広げてみようか。映画『風立ちぬ』のモデルの一つとなった、堀辰雄の小説『風立ちぬ』を読んでみよう。この主人公、二十四時間節子さんにつきっきりなんて調子乗りすぎだな。でもやはりいい。 …あれ?! 節子さんが死ぬ間際、主人公は完全に現実に還ってしまった、「刹那主義恋愛」の永遠から抜け出てしまった!なんてこったい!!

嗚呼落ち着け諸君座れ座り給え落ち着き給え諸君嗚呼見苦しいぞ諸君!そ、そうだ、その通りだ!我々の武器は理性だ、分析だ。今一度、冷静になって考え直してみるのだ。

……我々は理解した、いや理解してしまった。そう、「刹那主義恋愛」の体験はゴール地点ではない。むしろスタート地点なのだ。先人たちは「刹那主義恋愛」を用いてどうしようもなく不条理な現実に精一杯抗い、結果として輝かしい体験を得た。しかし、それでも現実は現実だ。人は何をしたって必ず死ぬ。最愛のパートナーは死に、先人たちは深く傷ついてしまった。だが、喪失の悲しみに彼らがじわじわと追い詰められ、遂に絶望のどん底に堕ちてしまった時、彼女たちが突如動き出して、彼らを励まし後押ししてくれた!映画でも、その過程が大きく省略されてはいるが、ラストシーンでちゃんと描かれているではないか。次の台詞は菜穂子が二郎を救済する台詞だ。

「あなた、生きて。」

この言葉が、この場面が、愛するものを救わんとする死者が起こした奇跡なのか、或いは救いを求める者の自己防衛本能が生み出した単なる妄想なのか、それは誰にも解らない。しかし、この言葉、自分は彼女を愛しまた彼女に愛されたのだという確かな実感、これがあってはじめて、我々人類は本当の意味で運命を打ち負かしたことになるのではないだろうか。そうだ、運命は彼女の存在を奪い去っていったが、それでも二人の愛を奪うことはできなかったのだ!即ち、抵抗、敗北を経ての、運命の克服。これこそが『風立ちぬ』の真の美しさである。

…というわけで、諸君。たとえ「刹那主義恋愛」を体験できたとしても、我々の辛く厳しい道はそれからも果てしなく続くようだ。君たちはそれでも「刹那主義恋愛」を求めるか?ナヲコちゃんとの暮らしを夢見るか??そしてナヲコちゃんに救って頂きたいのか???…うん、私は辞めた。私はそこまで深くナヲコちゃんを愛してやれるようなデキた人間じゃないから。やや、失敬な!私は飽きた訳では無い!断じて違うぞ。おこぷんぷんだ!(怒)…まあ兎に角やるんなら君たちで勝手にやってくれ。そしてナヲコちゃんを精一杯、力の限り愛し尽くしてやるんだぞ。じゃ、君たち、せいぜい頑張ってくれ給えよ。さらば!

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まあ僕は本当は刹那主義恋愛とかよりも何気ないシーンの名状しがたい情感というかそういう部分が好きで映画『風立ちぬ』の信者をやっているんですけどね。上手く言葉で説明できないのと、あとどうしてもロボットと結びつけることができないので没になってしまいました。

本記事はこれにて終わりです。今日は文字数が馬鹿みたいに多い癖に全く何の役にも立たないというかなりアレな記事でしたが、明日以降のAdvent Calenderには是非是非ご期待下さい。最後に、読んで下さって本当にありがとうございました。

 

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自分の作りたいロボット」への1件のフィードバック

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